息子の恋編２

予感

　教室のあちこちで囁かれ、クラスメイトがにわかに沸き立つ中、湯原が廊下に顔を出すと細身の生徒が一緒に教室へと入ってきた。
　その瞬間、教室内が騒然となる。その原因は入ってきたときすぐにわかった。身長はそんなに高くなく、おそらく斗眞くらいだろう彼の顔は端整な造りで人目を引き、男にしては可愛らしい顔立ちをしていた。

　湯原に自己紹介を促された彼は、にっこりと笑ってオレたちを見渡し、

「矢嶋諒(やじまりょう)です。仲良くしてください」

　そう名乗って頭を下げた。そのあと起こった拍手にも動じることなく教えられた席、廊下側の一番後ろに歩いていくと綺麗な動作で着席する。

「みんな積極的に色々教えてやれよ。矢嶋もわからないことは遠慮しないで聞くようにな」

　一通り説明を終え、ホームルームが終わると湯原は教室を出ていった。