chapter001 横恋慕

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話を聞いてみて解ったのだが、 資格を取りに行っている最中らしく働きながら取得を目指す様だ。 「基本はしっかり覚えて置いた方が良いよ、後々必用になるから。」 僕がそう言うと相槌を還す。 「そうですよね、ちゃんと覚えます!」 「でもね、基本は基本で現場ではほぼ役に立たないから、現場のやり方を重視しつつ、 学校で教わる基本は覚えるのがいいかな。」 学校で教わる基本は、 介護の現場では役に立たない事が多い。 色々なケースの利用者が居るからだ。お役所仕事しか出来ない教える側や、 国家資格の試験官等は頭が固く融通が効かないのが多いのが現実なのだ…。 そんなやり取りをしていると、本井さんに声が掛かる。 「そろそろ行くよ!」 「ハイ!じゃあ、行って来ます!」 慌てて返事を返し、 僕に会釈をして階段をかけ上がって行った。 中々楽しそうな娘だな…。 紫煙を燻らせふぅ~ッと息を吐く。 時計に目をやり時間を確認し、ベランダを後にした。 現場に着くと、同僚達が慌ただしい雰囲気の中で排泄介助に回っている。 「アザマス!」 仲間に声を掛けながら、介護記録に目を通す。 一通り目を通すと利用者の顔を見に行く。
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