プロローグ 自己回帰

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申し送りが終わる頃には先程の違和感も忘れ、帰り支度を始めていた。 「さっきの娘、20歳らしいよ?」 支度をする僕に主任が話し掛けて来る。 「アァ、本井さんですか?」 相槌を打つ様に主任に向き直る。 「そうそう、若いのに婚約者居るとか凄いね!」 感心したかの様に主任は1人頷く。 「そうですね、僕が20歳の頃何て遊ぶ事しか考えてなかった気がします。」 その頃を思い出しながら答える。 その後、 とりとめ無い会話をし別れを告げて会社を後にした。 僕の仕事は老人福祉で、 老人達の日々の生活の世話をする。 所謂、老人介護の仕事である。 勤務形態も時間交代制で、 早出 日勤 遅出 夜勤と4つの勤務が有るり、時間で交代するのだ。 夜勤明けという事もあり、 ボォ~ッとする頭と目を擦りつつ、車を 運転し!家路を辿る。 車中で朝の出来事を何と無く思い返し、 あの違和感も思い出した。 そう言えば、 あの奇妙な感覚は何だったのだろう? 目と目が合った瞬間に、身体中に走った何とも言えない感覚…。 「本井さんか…。」 そう呟き、此れから起こる事への不安と期待で胸が膨らむのだった。
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