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「という訳で、優が船の中のどこかに『監禁』されているかもしれないの。私、純一さんがあなたと電話で話していたのを聞いたの。あなたはPAPT2号の乗組員として、何か知っているの?」
『…………』
「お願い。脅迫文が届いたのよ!優を人質に、いま私たちの会社は、金銭を欲求されているの…っ」
『で、あんたは俺に、何を求めてんだよ』
咲は相変わらず ぶっきらぼうな口調だったが、その言葉はマリアにとって、一筋の光が見えたような気がした。
「き、協力…してくれるの…?」
先ほどの咲の発言は聞き間違いなんじゃないかと疑うように、マリアは、恐る恐る問う。
『つっても俺は、ジェイド社に雇われてる分際だからなァ。もし俺が、優を手助けしたことが会社にバレたときの俺のフォローは頼むぜ』
「あなた…………!」
マリアの頬を、ひと雫の涙が伝った。
それは窓から差し込む光に反射して、美しく、キラリと光った。
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