全知全能

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俺は全知全能の神。 この入れ物は仮の姿。 このみすぼらしい容器に入った中身こそ真の俺。 だが人間というものはまず外観で判断をする。 その為、幼少の頃から俺は忌み嫌われる虫のような存在だった。 注目は苦手。 全知全能がばれたら、はじめの内は羨望の眼差しを向けるが、周囲はその内俺を更に狙ってくるだろう。 アイツのあんなことやこんなこと。 あの子の殺意、羞恥。 家族の秘密、心の声。 近所の諍い、密会。 もっともっと深い汚れた事まで。 全てが俺には透けて見える。 そしてこの事が知れたら、それを隠したい輩が俺そのものを排除しに来る。 だから俺はこのまま知らない振りをして生きて行こう。 自分を守る為、馬鹿な仮の姿を突き通そう。 下等な人間は相手にしない。 俺は神だ。 .
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