全知全能

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そんな俺が初めて恋をした。 全知全能である俺が恋。 彼女は綺麗だった。 外も中も綺麗だった。 俺の容器を見ても彼女の心は澄んだまま。 歪む事無く微笑みかける。 こんな人間を初めて見た。 俺は浮かれた。 これが恋。 今まで馬鹿にしていたが。 これが恋。 下等な生き物だけの一瞬の気の迷いだと思っていた。 だが、これが恋。 俺は浮かれた。 彼女が俺の中身を知って驚いてくれたらどんなに嬉しいか。 知って、尊敬して、その白い足を開いてくれたらどんなに幸せか。 彼女が男と接触する度に、胸がジリジリと妬ける。 言葉を交わす度に、腕を回して殴りかかりそうになる。 刃物を振りかざしそうになる。 ああこれが恋。 この切なさ。 これが恋。 .
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