27人が本棚に入れています
本棚に追加
驚いた彼女が混乱した。
俺を見て恐怖に戦いた。
彼女の手には携帯。
操作しようとするそれを掴んだ。
叫び出す前に彼女の口を手の平で塞いだ。
彼女の戦慄が俺の脳内に雪崩れ込む。
大きな塊となって俺を襲う。
彼女の力は意外に強かった。
黙らせるための片手に力が籠る。
今まで発揮する機会のなかった力を制御できず、
俺の下で彼女の全てが緩くなっていく。
長い睫の下。
開いていく瞳孔。
その瞳の中に俺が映り、彼女の脳内に俺の姿が映し出され、
何故か流れてくるのは携帯を操作する音。
電源を切っていたはずの自分の携帯が鳴った。
ドッと全身の毛穴から汗が噴き出した。
そして俺の手が勝手にそれを開いた。
『人殺し』
彼女の手から滑り落ちる携帯。
俺は自分の携帯を投げ出した。
.
最初のコメントを投稿しよう!