全知全能

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驚いた彼女が混乱した。 俺を見て恐怖に戦いた。 彼女の手には携帯。 操作しようとするそれを掴んだ。 叫び出す前に彼女の口を手の平で塞いだ。 彼女の戦慄が俺の脳内に雪崩れ込む。 大きな塊となって俺を襲う。 彼女の力は意外に強かった。 黙らせるための片手に力が籠る。 今まで発揮する機会のなかった力を制御できず、 俺の下で彼女の全てが緩くなっていく。 長い睫の下。 開いていく瞳孔。 その瞳の中に俺が映り、彼女の脳内に俺の姿が映し出され、 何故か流れてくるのは携帯を操作する音。 電源を切っていたはずの自分の携帯が鳴った。 ドッと全身の毛穴から汗が噴き出した。 そして俺の手が勝手にそれを開いた。 『人殺し』 彼女の手から滑り落ちる携帯。 俺は自分の携帯を投げ出した。 .
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