第一章

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「こんこ~ん。宮瀬さんいらっしゃいますか~??」 「いや、見えてんでしょうよ。ガラス張りなんだから……」 「一応よ、一応。」 と、屈託の無い笑顔で扉の前に立つ女性は同期入社の白石 夏(しらいし なつ)。 名前通り夏の陽射しの様な明るさを振り撒く彼女は、広報宣伝課の……、いや、本社全体のアイドル的存在。 栗色したふわふわ巻き髪が胸元で揺れ、モデルみたいな華奢なスタイルが異性を惑わせる。 「あんたまた痩せた?いや、やつれたのか!!」 彼女のキャハハと甲高い笑い声と同時に両頬に浮き出るえくぼを 以前、男性社員が「ハムスターちゃんみたいで可愛いね」と、褒めていたのを思い出す。 本当の彼女は超肉食女子だというのに。
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