第一章

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「もう、何日もちゃんと寝てないんだからやつれもするでしょうね。」 夏のぷっくりした唇に乗るはツヤツヤグロス。 一方の私は唇処か全身ガサガサ。 化粧なんて……、まともにしたのはいつだろう。 思い出せない。 「フロアから見てたら結衣ってば幽霊みたいだよ?髪の毛もボサボサだし、うつ向いて動かないし !!元はいいんだから身なり位しっかりしなよ!一応……名前だけは……デザイナー……の、卵なんでしょ??」 「……雑用界では親鳥です…」 自分自身への皮肉に笑えてくる。 涙はもう自宅で溺れる程流してるから会社では泣きたくもならない。 それに、海外の真似をしたっていうこのガラス張りの専用デスクのせいで涙一滴だって流せば社内中に噂されること必死。 幽霊がまたすすり泣いている……と。
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