4人が本棚に入れています
本棚に追加
「ヒロキさん、すみません」
顔を上げると担任は
「この席は百合さんの席なので・・・ヒロキさんの席はあっちですね」
と奥の席を指さした。
申し訳なさそうに俺にお願いする担任。
こんな弱気な人が担任で大丈夫なのだろうか。
「・・・はい」
俺は席を立ち、指さされた奥の席まで向かおうとしていたが、
「あんた!!」
と大きな声が聞こえたので後ろを振り返った。
すると遅刻女が
「間違ってごめんなさいの一つもないわけ?」
「は?」
俺だけだろうか?いや、何名かは思ったはずだ。
『遅刻したお前も悪いだろう?』と。
めんどくさいと思った俺は「ごめん」と小さく呟き立ち去ろうとしたが、
「何?聞こえない?」
とあからさまに怒った表情の遅刻女は言った。
つい「めんど」と小さく呟いた俺の言葉は聞こえたらしく、
「あんた、常識なさすぎ!!」と俺を睨みつけた。
その間でオロオロしている担任が1番辛かったと思う。
「百合、遅刻したあんたも悪いんだから、そんなに突っかからないの!!」
と、中学の頃の友達であろう女の子が遅刻女を止めた。
「ごめんなさい、この子すぐに怒っちゃう子で・・・ほら、あんたも謝りな!!」
謝るよう促すその子の話を聞いていないのか、まだ俺を睨みつけていた。
ホントに面倒くさいと思った俺は、再び自分の席へと足を向けた。
時間の無駄。寝たい。
そんな俺の後ろから
「死ね!!」
本日、最大級の悪口を口にした遅刻女。
常識ないの、どっち?
一度足を止めてしまったが絡むと面倒くさいと判断した俺は振り返らず席へ座りまた机に顔を埋めた。
チャイムが鳴り、担任が教室から出ると皆席を立ち仲の良い友達の所へ行ったり、初対面の人と話をしたりしていた。
最初のコメントを投稿しよう!