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一週間後。予定通り、『ミッドナイト放送局』は放送された。
「時刻は深夜一時。今週も始まりました『ミッドナイト放送局』」
番組のスタートを切ったのは若い男の声だった。
「番組冒頭ではありますが、リスナーの皆さんに悲しいお知らせがあります。四月よりパーソナリティを務めていました田島 シンスケさんの番組卒業が急きょ決定しました。毎回、楽しみにお聞きくださっていたリスナーの皆様、大変もうしわけございません」
恭しく番組は進行していた。
田島は知らなかったのだ。増長した伝説の持つ魔力を。いや、正確には、測りちがえていた。
もはや一人歩きした『死神女』の名は誰もが語り得る存在にまで成長していたのである。
田島は見落としていたのだ。『死神女』の名を語る本当の怖さを。『死神女』がやったことにさえすれば、全ては不審死で片付くのだ。
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