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「あ、そう言えば知ってる? あの噂」
思わせぶりに田島が言った。
「あのって何よ」
「ある放送局に伝わる噂だよ」
「知りませんね」
「あ、もしかしてあれか?」
何かに気付いた様子で、大森が挙手をした。この男、いちいち行動がオーバーである。
「死神女の噂だろ」
「そうそう」と田島が相槌をうち、ほぼ同時に「何ですか、それ」と幸子が聞き返した。
「その放送局内で不審死が続いてたんだよ。あんまり連続するもんだから、警察が遺留品を洗ったんだ。そしたら、全員の共通項としてある人物からメールが届いていたんだ。それが死神女からのメールだったってわけ。つまり、死神女からメールが送られてきた人間は、必ず死ぬっていう噂」
「まっさかあ」
平静に戻った幸子が信じられないわという具合に笑いながら水を含んだ。
「ありがちな話ではあるけどね」
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