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「メール紹介いっちゃってください」
慌てたようなディレクターの指示がイヤホンを伝い、三人の耳に届いた。締め切られたボックスはガラスに面していて、サブの部屋にはプロデューサーやADが待機しているのだ。
放送時間が押していたというわけではないのに、ディレクターが話を遮ったのには理由がある。
死神女による不審死は、この局内で起こったことだったからである。無論、田島も公共電波に乗せて話しているという自覚はあったため、ある放送局、と一定の匿名性を持たせはしたものの、連続した不審死は確かに、この放送局内で起こっていたのだった。それもごく最近。
一人目の犠牲者は、構成作家の日比野だった。『死神女』からのメールを受け取り、数日後、局内の階段から転落死。
当初は悪質なイタズラと不運が重なっただけだとさほど問題視されなかったが、それから二人目・三人目と犠牲者が出ていく中で、次第に『死神女』に対する恐怖心は増していった。
そして、先月、田島の前任を務めていた勝木が死亡したことにより、『死神女』は重大な禁忌として認知されるようになったのだった。
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