スイッチ

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「どういうつもりですか田島さん!」  曲紹介で束の間の休息が訪れたスタジオ内にディレクターの怒声が響いた。 「いいじゃないか。別にあんたに届いたわけじゃないんだから。俺の自己責任で読んだの。何か問題ある?」  悪びれていない様子で田島が応じた。青筋たてたディレクターの怒気は収まるどころかいっそう増した。 「放送事故じゃないか、これじゃあ。分かってるんですか、現に五人の人間が死んでいるんですよ? そもそも不謹慎だ」 「まあまあ。もう起こっちまったもんはしょうがない。だいたい、『死神女』の話題を出した途端に『死神女』から番組宛のメールが届くなんて出来過ぎだ。愉快犯の仕業だよ、これは」 「大森さん。あんたまで」  ディレクターは絶句した。そして投げやり気味に「もういい。勝手にしろ」 「え、なになに?」  事の顛末を把握していないのは、幸子だけであった。 ――あるわけないんだよ、俺が死ぬなんてこと。 「とにかく、あなたに何が起こったって僕は責任持てませんからね」 「ハナから尻拭いしてもらうつもりはねえよ。俺は死なねえって」  ほどなくして流れていた曲が終わった。
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