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「…はい…っ！…」
正拳は途中で静止したが、一拍遅れて後方に残っていた右足が鋭く蹴りだされた。回し蹴りが膝(ひざ)の横を襲う。タツオは一瞬バランスを崩しそうになった。自分の意思ではのろのろとしか動かない癖(くせ)に、肉体は敵からの攻撃には正直だった。衝撃を受ければ、すぐに痛みと損傷が現れる。
「…つぎ…だ！…」
フェイントに使われた右正拳が再び加速を始めた。腕の防御は間に合わない。タツオは首を横に振って、打撃の威力をなんとか弱めようとした。頬骨(ほおぼね)に熱した鉄塊(てっかい)でも押し当てられたようだ。がくんと首がのけぞる。
「…ほめ…てや…る…よく…かわ…した…今の…は東…園寺…家古…流柔…術『鎧(よろい)…抜き…』だ…」
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