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「ただいま」 夜9時。あれから四時間ほどしてロキは帰ってきた。 「遅い」 「ごめんねヘム君」 「…許す」 すまなさそうに笑われては、俺はこれ以上責めることが出来ない。 我ながら甘いと思う。 「夕飯は出来ている」 「そう、ありがとねヘム君」 「…」 微笑まれるとこれもこれでこれ以上なにも言えなくなる。 席について目の前で手を合わせて食べ始めるロキの方をまともに見られないまま俺も手を合わせて食べ始めた。 「…ヘム君のご飯美味しいから好き」 「…食事中に喋るな」 「…あはは、ごめんごめん」 毎度毎度、俺が恥ずかしくなるセリフを吐いて…こいつに恥というものはないのか。 あったとしてもホコリ程度にしか考えてないんじゃないか。 特に問題もなく(?)食事を終え、ロキが洗い物をする。 「…ヘム君、洗いにくいんだけど…」 「…黙れ」 洗っている間中背中に抱きついて邪魔をしてやる。 「…大体、お前最近帰ってくるの遅いし」 「はは、ごめんごめん」 「大学の課題が忙しいのはわかっている。…つもりだ。」 「しばらくご無沙汰してるしね」 「ばっ…馬鹿!!」 背中をぺちぺちと叩く。 こんな恥ずかしいけど少しは気にしていたことをさらりと言われると反応に困る。 「痛い痛い…ごめんってば」 あははと笑うロキの背中を叩き続ける。 「顔真っ赤だよ?」 顔を覗き込まれる 「う、うるさい…!」 背中に思い切り抱きついて顔をうずめる。 こいつは正真正銘のバカなのかもしれない。
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