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「山岡裕子さん…あなたのご主人の精神は…。もう戻ることはないでしょう。
夢の中の世界で、とても楽しく暮らすことを選んだようです…」
「そうですか…。彼の両親にも離婚を勧められていまして…
息子のためにも私もそうしようかと思います」
想像以上に計画通りに進んで、少し怖い気もする。
でも、彼にばれるわけにはいかなかった。
でも、離婚はしたかった。
こうするしかなかったのよね。
「あなたの言う通りにしたら、本当に彼壊れてくれたわ」
「男のメンタルなんて弱いもんなんだよ。一度死んだはずの人間が戻ってきて
また徐々に消えていく。それだけで自分の世界に篭ってしまうぐらいにはね」
「雄介。彼が“ホントウ”のパパよ」
「ホントウの?」
「そうだよ。俺が君のパパだ」
その時、私の携帯が静かに震えた。
『裕子。雄介。いつまでも愛してるよ』
私は、静かに携帯の電源を切った。
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