第1章

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体調不良を上司に伝え、早退し家路を急いだ。 家に帰る頃には、辺りは暗くなっていたが 遠くに見える家には、明かりが灯っていた。 やはり。絶対、おかしい。 あわてて鍵を開け、家に飛び込むと キッチンからいい匂いが漂ってきた。 「あら、お帰り。早かったのね」 俺は動揺を隠しつつ、平静を装った。 「あぁ・・・ちょっと体調が悪くてね。早めに上がらせてもらったんだ」 「大丈夫?風邪?」 「たぶん・・・な」 「顔真っ青よ。早く休んだほうがいいんじゃない?」 包丁を持ったまま、そう労わる声に、冷や汗をかきながら 寝室へと逃げ込んだ。 「そんなはずはない・・・だって・・・」
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