第1章

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「山岡裕子さん…あなたのご主人の精神は…。もう戻ることはないでしょう。  夢の中の世界で、とても楽しく暮らすことを選んだようです…」 「そうですか…。彼の両親にも離婚を勧められていまして…  息子のためにも私もそうしようかと思います」 想像以上に計画通りに進んで、少し怖い気もする。 でも、彼にばれるわけにはいかなかった。 でも、離婚はしたかった。 こうするしかなかったのよね。 「あなたの言う通りにしたら、本当に彼壊れてくれたわ」 「男のメンタルなんて弱いもんなんだよ。一度死んだはずの人間が戻ってきて  また徐々に消えていく。それだけで自分の世界に篭ってしまうぐらいにはね」 「雄介。彼が“ホントウ”のパパよ」 「ホントウの?」 「そうだよ。俺が君のパパだ」 その時、私の携帯が静かに震えた。 『裕子。雄介。いつまでも愛してるよ』 私は、静かに携帯の電源を切った。
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