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そこはどこか建物の屋上であった。
風によって自分より高いところにいる黒い影が揺れた。
ポンチョについたフードを深くかぶり、
あたりも暗く顔も見えないが
どうやら小柄な少女の影であるらしかった。
「お前さえいなければ、こんなことになることもなかったのだ。
少しくらい情があるなら大人しく私の手によって消えてくれ。」
幼い声質の少女の影は、そう喋ると、
目だけでは到底追えない一瞬の早さで
100m先くらいにいる此方の目の前まで来た。
「お前の方がよっぽど空っぽの傀儡じゃないか。」
少女は、此方の耳元で小さく、だがハッキリとつぶやいたかと思うと
今度は此方の肩に勢い良く、張り手してきた。
俺の体は素直にその力を受けると、宙に待ってから
屋上のふちに一回ぶつかって、そのまま建物から落ちていった。
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