身体のない会話

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私は自分の臓器を受け継いだ人がただただ健康に生活していることを願うばかり だ。 科学の進歩はすごいもので、亡くなった方の臓器だけでなく、今や人の記憶も取 り出せるようになっている。 そんな近未来の世界が、今では現実となっている。 私の記憶は人工知能に埋め込まれた。 そして、自分の記憶から両親や弟と話をすることが出来た。 記憶は毎日更新され続けている。記憶だけならこれまでと何も変わりはない。 実際の身体はもうないが、3D画像で私の身体は再現させられる。 この部屋には、人工知能と私を映し出す装置が揃っている。 私は暗い部屋の中に、わずかなにぶい灯りを伴って現れる。 明る過ぎるとと私の姿がぼやけるのだ。
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