第2章

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・・・翌朝、10:00。 私は肩で風を切りながら、事務所へ続く廊下を歩いていた。 あのタヌキ親父に、昨日の居留守を心底後悔させてやるんだッ! そう心の中で呟きながら・・・ ・・・バンッ!!! 「おはようございますッ!」 まずは、勢いよく事務所の扉を開ける。 「・・・ひゃッ。」 すると、扉の向こうで、小さな悲鳴とともに小動物が隠れる気配がした。 ・・・フッ・・・逃げようったって、そうは行きませんからね! 私は、ツカツカとデスクの前まで歩いて行くと、その下をヒョイッと覗いた。 「・・・おはようございます。黒川さん。」 「・・・ひゃッ。」 「さ、早いとこ、ソコから出て下さいね。」 「ああーん、七瀬ちゃーん! 悪気はなかったのぉー! 私、悪気はなかったのよぉー!」 なぜかオネエ言葉で許しを乞おうとする黒川氏が、ウソ半泣きの表情を浮かべながら顔を出した。 「とりあえず・・・どういう事なのか、説明してもらいましょーか?」 私はデスクの前で仁王立ちすると、彼の逃げ道を完全に塞いだ。
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