6910人が本棚に入れています
本棚に追加
/403ページ
「七瀬ちゃん、落ち着いて! ね、ココは一つ、冷静に。」
「私は、至って冷静ですけど?」
デスクの下からヒョッコリ顔を出す黒川氏を、腕組みしながら上から睨み付ける。
「いやぁーん! だって、七瀬ちゃん、怖いんだも・・・」
・・・ガンッ!!!
黒川氏が、オネエ炸裂で穴倉から出ようとした、その時・・・目の前で彼のキレイに整えられた七三分けがバウンドした。
「いったぁーー! 何よッ、この机ッ! バカじゃないのッ?」
デスクの角に頭をぶつけた腹いせを、無機質な備品のせいにしようとするアホな上司・・・
・・・ちょっとは、落ち着けっつーの!
「ねえ、七瀬ちゃん、タンコブ出来てない? ココ・・・タンコブ出来てなぁーい?」
「そんなもの、出来てませんよッ。」
・・・パシッ!
私は、黒川氏の後頭部をしたたかに叩くと、目の前の椅子にドカッと腰を下ろした。
「いったい、何なんですか? あの5歳児は!」
「ホント・・・いったい、何なのかしらねー?」
・・・は?
「何なのかしらねー、って・・・こっちが聞いてんでしょーが!」
私は、黒川氏のネクタイをむんずと掴むと、耳元でそっと囁いた。
「奥さんに言いますよ。禁煙出来てない事・・・」
「うぷっ・・・ごめんなさい。それだけは言わないで・・・」
黒川氏は、内ポケットから取り出した煙草をデスクの引き出しに入れると、厳重に鍵を掛けた。
最初のコメントを投稿しよう!