第2章

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「七瀬ちゃん、落ち着いて! ね、ココは一つ、冷静に。」 「私は、至って冷静ですけど?」 デスクの下からヒョッコリ顔を出す黒川氏を、腕組みしながら上から睨み付ける。 「いやぁーん! だって、七瀬ちゃん、怖いんだも・・・」 ・・・ガンッ!!! 黒川氏が、オネエ炸裂で穴倉から出ようとした、その時・・・目の前で彼のキレイに整えられた七三分けがバウンドした。 「いったぁーー! 何よッ、この机ッ! バカじゃないのッ?」 デスクの角に頭をぶつけた腹いせを、無機質な備品のせいにしようとするアホな上司・・・ ・・・ちょっとは、落ち着けっつーの! 「ねえ、七瀬ちゃん、タンコブ出来てない? ココ・・・タンコブ出来てなぁーい?」 「そんなもの、出来てませんよッ。」 ・・・パシッ! 私は、黒川氏の後頭部をしたたかに叩くと、目の前の椅子にドカッと腰を下ろした。 「いったい、何なんですか? あの5歳児は!」 「ホント・・・いったい、何なのかしらねー?」 ・・・は?  「何なのかしらねー、って・・・こっちが聞いてんでしょーが!」 私は、黒川氏のネクタイをむんずと掴むと、耳元でそっと囁いた。 「奥さんに言いますよ。禁煙出来てない事・・・」 「うぷっ・・・ごめんなさい。それだけは言わないで・・・」 黒川氏は、内ポケットから取り出した煙草をデスクの引き出しに入れると、厳重に鍵を掛けた。
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