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あの家には、鉢植えなんて1つも置いてなかった。
って、言う事は・・・?
もしかして・・・あの後、城崎さんは、わざわざお皿を買いに行ってくれたのだろうか?
そんな疑問が、ずっと頭の中を駆け巡っていた。
「どうしたの、アオイ? いつにも増して、変な顔だよ。」
幼稚園からの帰り道・・・
私の手を握りながら、昂くんが不思議そうな顔で見上げた。
「・・・は? 今、何て言いました?」
若干、怒りを込めた表情でそう返すと、昂くんは「やっぱり・・・変な顔。」と言ってニヤリと笑った。
まったく・・・イケ好かないガキんちょだ。
そんな事を思いながら・・・今日もいつものように、他愛もない話で家に着くまでの時間をほどほどに潰す。
「今日は、幼稚園で何やったの?」
「ん? また、いつものクダらない砂遊びだよ。」
クダらない・・・砂遊び・・・?
いやいや、幼稚園生の成長過程において、避けては通れない大事な遊びの一つだと思いますが・・・?
きっと、この子にとっては、砂を弄るより本を読んでいる方が、余程有意義な時間の過ごし方なんだろうなぁ・・・
そう思うと、少しだけ寂しい気持ちになる。
「・・・そっか。」
そんな気持ちとはうらはらに、頭の中では、あいかわらずお皿の事が渦巻いている自分に気づいて、フッとため息を吐いた。
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