第2章

23/29
前へ
/403ページ
次へ
***** あの家には、鉢植えなんて1つも置いてなかった。 って、言う事は・・・? もしかして・・・あの後、城崎さんは、わざわざお皿を買いに行ってくれたのだろうか? そんな疑問が、ずっと頭の中を駆け巡っていた。 「どうしたの、アオイ? いつにも増して、変な顔だよ。」 幼稚園からの帰り道・・・ 私の手を握りながら、昂くんが不思議そうな顔で見上げた。 「・・・は? 今、何て言いました?」 若干、怒りを込めた表情でそう返すと、昂くんは「やっぱり・・・変な顔。」と言ってニヤリと笑った。 まったく・・・イケ好かないガキんちょだ。 そんな事を思いながら・・・今日もいつものように、他愛もない話で家に着くまでの時間をほどほどに潰す。 「今日は、幼稚園で何やったの?」 「ん? また、いつものクダらない砂遊びだよ。」 クダらない・・・砂遊び・・・? いやいや、幼稚園生の成長過程において、避けては通れない大事な遊びの一つだと思いますが・・・? きっと、この子にとっては、砂を弄るより本を読んでいる方が、余程有意義な時間の過ごし方なんだろうなぁ・・・ そう思うと、少しだけ寂しい気持ちになる。 「・・・そっか。」 そんな気持ちとはうらはらに、頭の中では、あいかわらずお皿の事が渦巻いている自分に気づいて、フッとため息を吐いた。
/403ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6947人が本棚に入れています
本棚に追加