第2章

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・・・すると 「・・・何か、あったのか?」 私の左手を握る小さな手に、ギュッと力が込められた。 「あ、ああ・・・あのお皿、どうしたのかな?って・・・」 「・・・あのお皿?」 「ほら、サボテンの・・・」 昂くんは「なんだ、その事か・・・」と呟くと、何かを思い出したように笑いながら言葉を続けた。 「昨日、アオイが帰った後、父と一緒に買いに出掛けたんだ。」 「・・・えっ?」 ・・・あの後って・・・夜なのに、わざわざ? 驚いて昂くんの顔を覗き込むと、彼は少しだけイジワルそうな表情を浮かべた。 「また、水浸しにされちゃたまらないからな。それに・・・」 ・・・それに? 「あの鉢に似合う皿を探すの・・・けっこう苦労したんだぞ。」 昂くんは、少しだけ照れたような口調でそう言うと、私を見上げながらニッコリと笑った。 「父のセンス・・・なかなかイイでしょ?」 「あのお皿・・・城崎さんが?」 「うん。父が『絶対にコレだ!』って言い張ってさ・・・あの人が、そこまで言い張るのも珍しいんだけど。でも、喜んでたみたいだから・・・」 その言葉を聞いた瞬間・・・胸の奥の方でトクンと何かが鳴ったような気がした。 「・・・喜んでた? 私が水浸しにしちゃったのに、何で?」 「さあね・・・オレにも、よく分かんない。」 いったい、何だろう? このざわめきは・・・? 私は、いつもと違う鼓動に戸惑いながら、小さな手をギュッと握り締めた。
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