第2章

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「ああ・・・やっぱり、キミの肩揉みは最高だ。」 今日も、カッタいカッタい城崎さんの肩を揉みながら、鈍り始めた指先の感覚に頭が麻痺して行く。 こうやって、主従関係は作られて行くものなのだろうか? そんな降って湧いたような下僕根性に、私は慌てて首を横に振った。 ・・・ところが 「あの・・・お加減はいかがでしょうか?」 「うむ・・・上々だ。」 完璧なお伺い立てに、今まで内に秘められていた「下僕の才能」が開花する瞬間を見てしまった。 ヤバい・・・完全に、取り込まれている。 思わず「ご主人様」と口走りそうになるのを抑えながら、必死になって良さそうなポイントを探している私と、そんな私を気に留める事もなく、ただ左団扇(ひだりうちわ)で快感に浸っている無慈悲な男・・・ その図は、まさに・・・現代の「桔梗屋と丁稚奉公(でっちぼうこう)」。 ・・・おぉぅ。 私は、心の中で小さな悲鳴を上げると、少しだけ指先に力を込めた。
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