第1章

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ここでもう一度、新しい派遣先の確認をしておこう! 依頼人は、『城崎 圭人(きのさき けいと)』32歳。 建築設計会社「城崎コーポレーション」社長。 一級建築士の資格あり。 愛息子『昂(こう)・5歳』との二人暮らし。 私の仕事は、11:00に出勤して掃除、洗濯、買い物等を済ませた後、15:00に昂くんを迎えに幼稚園へ行き、彼の夕飯、お風呂の世話をして19:00になったら帰宅・・・ と、まぁ、この表を見る限り、勤務時間の半分は、昂くんのお世話をする事になるわけで・・・ だったら、家政婦というより、むしろベビーシッターという方が正しいのかもしれない。 それにしても・・・5歳児かぁ。 きっと、かわいいんだろうなぁ・・・ セレブの依頼人に対する並々ならぬ恐怖感はあるものの、いたいけな5歳児の存在に心を救われたところはある。 まぁ、どうせ忙しい依頼人と顔を合わせる事なんて、そうそうあるわけじゃないだろうし・・・ 今日は、前任者からの引き継ぎのため、15:00にマンションへ伺う約束になっていた。 本格的な仕事は、明日から。 まぁ、今日は簡単な顔合わせみたいなものだ。 どうやら、今日は、昂くんも幼稚園をお休みして私を待っていてくれるらしいのだが。 おそらく昂くんも、担当が代わる事で不安をいっぱい抱えているのだろう・・・と思う。 「笑顔」と「優しさ」。 いたいけな5歳の彼に警戒心を持たれないよう、私も細心の注意を払わなければ・・・ ちなみに、今日は「お近づきの印に・・・」という事で、コンビニでお菓子も調達して来た。 ・・・よし、コレで掴みは上々だ! 私は、手にしたコンビニ袋の中身を確認すると、意を決してタワーマンションに足を踏み入れた。
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