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何か、話しかけた方がいいのかなぁ・・・
そんな事に頭を悩ませていたのも始めのうちだけで、すぐに何処かへ消えてしまった。
・・・なぜなら
ステアリングに乗せられた城崎さんの手が、思いのほかキレイな事に気づいてしまったから・・・
スーッとまっすぐ伸びた指は、軽く第10関節くらいはあるんじゃないか?と思うほど長くて、しかもスベスベな感じだ。
インドでは、左手を「不浄の手」と呼ぶらしいが、この左手でお尻を拭くなんて、もったいなくてとても出来ない。
・・・ふふん ♪
すっかり城崎さんの手に見入ってしまった私は、あらぬ妄想を膨らませていた。
お風呂から上がった後に、何か特別なクリームでもつけているんじゃなかろうか?・・・とか。
つけ終わったあと、手に残ったクリームで顔まで行っちゃったりするのだろうか?・・・とか。
この手で触れられたら、どんな気持ちになるのだろうか?・・・とか。
・・・それから
この手に触れられているのは、いったいどんな人なのだろうか?・・・とか。
でも、そう思ったとたん、胸の奥がチクリと痛んだ。
いったい、これは・・・どういうわけか?
分からないけど・・・とりあえず、痛い。
ダメだ・・・これ以上妄想を続けたら、心身ともに危険が及ぶ領域に入ってしまう。
私は、緊急に妄想を中断すると、フーッと息を吐きながら窓の外に視線を向けた。
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