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それから数日後・・・
珍しくインターホンの音が鳴り響いた。
連日の肩揉み生活により、すっかり耳から遠のいてしまったその音に驚いて玄関を開けると・・・
「お久しぶりです。七瀬さん。」
そこには、久しぶりに見る佐伯さんの穏やかな笑顔があって・・・
連日の緊張から解放された私は、一気に気が緩んでしまった。
「佐伯さん。お懐かしゅうございます。」
「そんな大袈裟な・・・たかが10日ぶりじゃないですか。」
「いいえ!私にとっては、一日千秋の日々・・・たかが10日、されど10日でございましたわ!」
「ハハハ・・・あいかわらず楽しい人だ。どうりで社長の仕事も捗る(はかどる)わけですね。」
私の魂の叫びに、佐伯さんが「爆笑」という誤った方法で返して来た事にも驚いたが・・・問題はそこではない!
「あの・・・捗るって・・・城崎さん、最近ヒマだったんじゃないんですか?」
「まさか!今、ウチの会社は、創立以来、最高と言っていいほど繁盛していますよ。」
「えっ、城崎さん、毎日早く帰って来てたし・・・てっきり、ヒマなのかと・・・」
すると、佐伯さんは、ニヤリと笑いながら
「まぁ、誰のおかげなのかは分かりませんが・・・社長は、ココのところ毎日、馬車馬のように働いて夕方までに仕事を終えると、風のように帰って行きますからね。それこそ、ピューーっていなくなる感じで・・・(笑)」
「・・・はぁ。ピューーって・・・ですか。」
「おかげで、社員は皆『早く帰れる!』って喜んでますよ。やっぱり、社長より先に帰るのは気が引けますからね。まぁ、誰のおかげなのかは分かりませんが・・・(笑)」
・・・ふーむ。
佐伯さんの笑顔に、何やら「含み」があるのを感じるのは、私だけだろうか?
そんな事を考えながら・・・久しぶりに電車に乗って家路に着いた。
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