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『キミは、きっといいお嫁さんになると思うよ。僕には、合わないけど・・・』
初めて出来た彼氏のため、料理教室に通ったり、オシャレに気を遣ったり、自分なりに一生懸命やったつもりだったけど・・・彼は、ひと言「重い」と言い残して私から離れて行った。
私が家政婦になったのは、あの時とった杵柄(きねづか)を無駄にしちゃいけないと・・・こんな事に負けちゃいけないと・・・そう思ったから。
あの日から、もう誰かを好きになんてならないと心に決めていたのに・・・
あの日から、二次元でも三次元でもなく、一人妄想の世界で幸せに生きて行こうと心に誓ったのに・・・
どうして、またこんな事を考えてしまうのだろう?
ダメだ!ダメだ! 恋なんかしたって・・・どうせ傷つくだけ。
そして、今度傷ついた時には、もっともっとその傷口は広がって・・・
それに耐えられる自信なんか微塵もないのに・・・また性懲りもなく、誰かに寄り添いたいなどという願望に目覚めてしまう。
女って・・・本当にバカだ。
そう・・・城崎さんは、私の妄想の中だけで生き続けてくれれば、それでいい。
とにかく、人として謝るべきところは謝って・・・
そして今後も、私は、依頼人から信頼されるような担当者になるべく、日々邁進して行けばいいのだ。
よし!こうなったら、今日からしばらくの間・・・あのキレイな手は封印だ!
もったいないけど・・・今、この時をもって封印する!
そう心に決めて・・・
私は、おトイレの照明磨きに、今日イチの頑張りを発揮しよう!と雑巾を握った。
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