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・・・そして
・・・ガチャ、ガチャ。
今日も、いつものように玄関のドアが開いて、無表情な家主が帰宅した。
「・・・お帰りなさい。」
「・・・ああ。」
そして、いつものように、家主はおもむろに上着を脱ぐ。
しかし、今日は・・・
「あの・・・城崎さん。肩揉みの前に・・・少しだけ、お話してもいいですか?」
「何だ?」
「あの・・・」
「どうした?・・・話があるんだろ?」
「ええ・・・まあ・・・」
どうしよう・・・城崎さんを目の前にしたら・・・何だか、急に言い出し難くなってしまった。
ああ・・・でも、私が悪かったんだから、ちゃんと謝らなきゃ。
もう一度、自分の心に喝を入れて、やっとの思いで口を開く。
「あの・・・この前、駅で・・・」
ところが、そう言いかけたところに・・・私の携帯が、けたたましく鳴り響いた。
「・・・ごめんなさい。」
バッグから携帯を取り出して、画面を見ると・・・電話は、アパートの大家さんからだった。
(こんな時間に・・・いったい、どうしたんだろう?)
「あの、ウチの大家さんからなんですけど・・・ちょっと、いいですか?」
私は、城崎さんに断りを入れると、急いで通話ボタンを押した。
「もしもし、七瀬です。」
・・・すると
「あっ、碧ちゃん?大変なのーッ!実はね・・・」
「・・・はあーーーーッ?!」
耳を疑うような大家さんの話に・・・私は、思わず卒倒しそうになってしまった。
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