第3章

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***** ・・・そして ・・・ガチャ、ガチャ。 今日も、いつものように玄関のドアが開いて、無表情な家主が帰宅した。 「・・・お帰りなさい。」 「・・・ああ。」 そして、いつものように、家主はおもむろに上着を脱ぐ。 しかし、今日は・・・ 「あの・・・城崎さん。肩揉みの前に・・・少しだけ、お話してもいいですか?」 「何だ?」 「あの・・・」 「どうした?・・・話があるんだろ?」 「ええ・・・まあ・・・」 どうしよう・・・城崎さんを目の前にしたら・・・何だか、急に言い出し難くなってしまった。 ああ・・・でも、私が悪かったんだから、ちゃんと謝らなきゃ。 もう一度、自分の心に喝を入れて、やっとの思いで口を開く。 「あの・・・この前、駅で・・・」 ところが、そう言いかけたところに・・・私の携帯が、けたたましく鳴り響いた。 「・・・ごめんなさい。」 バッグから携帯を取り出して、画面を見ると・・・電話は、アパートの大家さんからだった。 (こんな時間に・・・いったい、どうしたんだろう?) 「あの、ウチの大家さんからなんですけど・・・ちょっと、いいですか?」 私は、城崎さんに断りを入れると、急いで通話ボタンを押した。 「もしもし、七瀬です。」 ・・・すると 「あっ、碧ちゃん?大変なのーッ!実はね・・・」 「・・・はあーーーーッ?!」 耳を疑うような大家さんの話に・・・私は、思わず卒倒しそうになってしまった。
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