第1章

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エントランスで、事前に知らされていた暗証番号を押してから、エレベーターに乗る。 そして、目指す30階に向かうと、降りた先には・・・いきなり目の前に、ババーーン!と。 まさに、ババーーン!と玄関のドアがあった。 (うおぉー! もしかして、1フロア全部が家・・・とか?) ますます気後れする自分を励ましながら、おもむろにインターホンを押す。 すると、悲鳴にも似た声とともに、玄関のドアが開いた。 「あの・・・今日からこちらでお世話になります、七・・・」 「えーと、まずね、あちらがキッチンで、その扉の向こうがバスルーム。ゴミの日は、火曜と金曜だから・・・それと・・・」 ・・・は? 「寝室のベッドは、毎日新しいシーツに交換する事と、後は・・・」 挨拶もそこそこに、いきなり家の中の説明って・・・ないでしょ。 何て言うの? もうちょっと、趣(おもむき)のある上手な引き継ぎの仕方ってもんが・・・ 「ちょ、ちょっと、待って下さい。そんなにいっぺんに言われても・・・」 「19:00前には、会社の人が来てくれると思うから・・・じゃあね、任せたわよー!」 そう言うと、前任者(おそらく)の人は、逃げるように去って行った。 はぁ? 何、今の? もしかして、これで引き継ぎ終了? まだ私、靴も脱いでいないというのに・・・ 何が何だかよく分からない中、とりあえず家の中に入ろうとスリッパに履き替えていると、目の前にキレイな顔立ちをした男の子が現れた。 うわぁー・・・カワイイ! しばし、その少年に見惚れていると・・・ 「オマエか? 新しい家政婦というのは・・・」 見た目の美しさとは程遠いお言葉が、彼の口から飛び出した。
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