第3章

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「ちょっ、待って!大家さん・・・1ヶ月って・・・」 『碧ちゃんには、本当に申し訳ないと思ってるわ。ごめんなさいね。』 「・・・そ、そんなぁーーー!」 大家さんの話によると・・・ ウチの真上に住む人の部屋で水道管が破裂してしまい、その部屋と、私の部屋の2軒が水浸しになってしまった・・・との事だった。 業者に見てもらったら、「至る場所で水道管の老朽化が進んでいるので、一刻も早く直した方がいい」と勧められたらしいのだが、その工事に、少なくとも1ヶ月は掛かる・・・と。 『ダメになってしまった家財道具なんかは、ウチの方で弁償させてもらうから・・・悪いんだけど、それまでどこか知り合いのお家にでも・・・』 ・・・って、いきなり、そんな事を言われても・・・ 実家は遠いし、長期間住まわせてくれる知り合いなんて・・・誰もいない。 私はショックのあまり、ペタリとその場に座り込むと、放心したように言葉を失ってしまった。 ・・・はぁ。 ため息を吐きながら顔を上げると・・・目の前に、城崎さんがしゃがみ込んでいた。 「いったい・・・何があったんだ?」 「部屋が・・・水没したそうです。」 「・・・水没?」 「ええ・・・工事が終わるまでに、1ヶ月は掛かるみたいで・・・」 ・・・はぁ。 いったい、これからどうすればいいのか分からないけど。 とりあえず、すぐに帰って、状況を把握しなくては・・・
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