第3章

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「そんなわけで・・・申し訳ありませんが、今日は帰らせていただきます。」 「行く宛はあるのか?」 行く宛? そんなものあるわけがない。 「いいえ・・・でも、いったん帰らないと・・・」 早く駅に向かわないと、電車に間に合わなくなってしまう。 私は、ペコリと頭を下げると、急いで靴を履いて玄関のドアを開けた。 ・・・その時。 「ちょっと、待て!」 「・・・はい?」 掴まれた腕を勢いよく引っ張られた私は・・・そのまま城崎さんの胸に、スッポリと納まってしまった。 「ちょ・・・ちょっと・・・」 「宛もないのに、いったいどこへ行くつもりだ?」 「とりあえず、帰ってからゆっくり考えようかと・・・っていうか、コレ・・・」 そう言って、慌てて城崎さんから離れると、彼は呆れたようにため息を吐きながら、とんでもない事を言い出した。 「だったら・・・ココに住めばいいだろ?」 「・・・は?」 「部屋も余ってる事だし、何の問題もない。」 「あの・・・おっしゃっている事が、よく・・・」 そのまま城崎さんに引きずられるように・・・また私は、リビングに連れ戻されてしまった。
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