第3章

11/20
前へ
/403ページ
次へ
そして・・・なぜか、リビングの真ん中で1.5VS1・・・ 私は、そこそこいいように詰められていた。 「だいたい、帰ったところで寝る場所もないんだろ?」 「ないんだろ?」 「ええ、まぁ、おそらく・・・」 「だったら、ココに住めばいいだろ。どうせ、毎日来るんだし・・・」 「来るんだし。」 「それは、そうですけど・・・」 「じゃあ、いったい何が不満なんだ?」 「不満なんだ?」 まさか、『その小っちゃいヤマビコがめんどくさい上に、気が抜けない生活なんて真っ平御免なんですけど・・・』とは言えない私は、すこぶる丁重に言葉を選びながら抵抗してみた。 「あの・・・でも、やっぱり・・・城崎さんにご迷惑をおかけする訳には・・・」 ・・・すると 「だから、さっきから言ってるだろう?部屋が余ってる、って!」 そう言うと、城崎さんは、昂くんを抱えたままドカッとソファーに座ってしまった。 ああ・・・どうやら、また嫌われてしまったようだ。 やはり、この手のイケメンは、付かず離れずの距離にいて、妄想の中だけで活躍してもらうのがちょうどいいのかもしれない。 でないと、ほら・・・こんな風に、心が痛く・・・ 私は、さっきからずっと向けられている鋭い視線に胸を痛めながら、ただただ床を見つめていた。 ・・・すると 「いいから・・・ココに来いよ。」 ・・・ほよっ? 彼の低くて優しい声は、私の顔を上げさせるのに十分なくらい威力があり・・・ 「・・・はい。」 その真っ直ぐな視線は、完膚なきまでに私を捕らえ、そして従順にしていた。
/403ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6945人が本棚に入れています
本棚に追加