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『心配するな・・・胸が大きいだけでは、欲情しない。』
残念ながら・・・彼のこのひと言によって、私が「女性」として意識されていない事が確定した。
まったく・・・
ドヤ顔の奥底に隠れた優しさがうんぬん・・・とか・・・
これ以上、彼に思いが募ってしまわないようにするには、いったいどれくらいの距離間を保てばいいのか・・・とか・・・
そんなおめでたい事を考えていた自分が、正直、恥ずかしくてたまらない。
城崎さんは、これっぽっちも私の事なんか気にしていないのに・・・
「・・・はぁーあ・・・」
『自意識過剰』
昔から大嫌いだった言葉が頭の中を駆け巡って・・・すっかり穴があったら入りたい気分になってしまった。
・・・すると
「キミは、酒が呑めるのか?」
冷蔵庫の前で、座り込んだまま「のの字」を書き続けている私に向かって、城崎さんがポツリと言った。
「ええ・・・少しなら・・・」
「じゃあ、ちょっと付き合わないか?」
私が遠慮気味に返事をすると、彼は缶ビールを2つ掲げながらリビングへ入って行った。
ふーむ・・・酒、か・・・たしかに、私も呑まなきゃやってられない気分ではある。
「とりあえず、呑むか!」
私は、気を取り直して立ち上がると、城崎さんを追うようにリビングへ向かった。
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