6907人が本棚に入れています
本棚に追加
/403ページ
*******
*****
「ですからねぇ?アタシも言ってやったんれすよぉー。あのタヌキ親父にぃーー!」
「・・・・」
気がつけば、私はすっかりクダを巻いていた。
「もぉー、アタシには何も捨てるもんなんかないんれすからぁー。怖いモノなんて、なぁんにもないんれすからぁー!」
「おい・・・呑み過ぎだろ。」
「はぁ?呑み過ぎぃーー?って、城崎しゃん、さっきからなぁんにも呑んでないじゃないれすかぁ!何れすかぁ?アタシの酒が呑めないんれすかぁーー?・・・うーん・・・むにゃむにゃ・・・」
「・・・最悪だな。」
どうやら私は、すっかり呆れている城崎さんに気づく事もなく、散々悪態をついたあげく、そのままソファーの上で眠ってしまった・・・らしい。
そんな痴態を知ったのは、翌朝・・・
「・・・んー・・・んん・・・・ふむ?・・・んんッ?」
寝返りを打った先にある物体・・・その物体から、明らかに体温に近い温もりを感じて目を開けると・・・
「はッ!?・・・き、城崎さん!?」
何と、城崎さんの麗しい寝顔がこちらを向いていた。
し、しかも・・・息がかかるような距離で・・・
・・・ど、どういう事? こ、これは・・・いったい、どういう事?
昨夜の出来事を思い出そうと記憶を辿ってみても、動揺し過ぎて頭が働いてくれない。
・・・落ち着け! とりあえず、落ち着け、私!
・・・すると
「どうした?まだ酒が残ってるのか?」
・・・酒? そういえば、昨夜、城崎さんに誘われて・・・散々黒川氏の文句を言ったような・・・
「あの、もしかして・・・私、何かしでかしました?」
「まさか・・・覚えてない、とか言わないだろうな?」
「いえ、言いますね。」
「・・・は?」
城崎さんの睨みっぷりは、起き抜けだというのにとても美しかった。
最初のコメントを投稿しよう!