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――どう考えたって、わざと足を踏み外したなんてことはない。
とすれば、あれは事故なのか?
再び、家族三人が待つ和室へと戻る。
薄暗い廊下を一歩踏み進めるごとに、不安は得体の知れない恐怖に変化し始めた。
――事故の前にタイマーメールを仕込むだけなら、婆ちゃんにだって出来る。
和室のふすまにかけた手が、止まった。
中からは、聞きなれた声たちが楽しげに談笑している。
――家の階段から婆ちゃんは落ちた。
事故だとすれば、いつ、誰があのメールを仕込んだんだ?
夜中の階段。
寝静まった家。
だとしたら。
――あのタイマーメールを仕込んだ人は……
背中を冷たい汗が伝う。
ふすまの先にある部屋が、どんどん遠ざかっていくような錯覚に陥った。
震える指先が、皆の部屋へと戻ることを拒否し始める。
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