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「本当に…近藤さんは優しすぎます…。」
白茜の目には涙がたまっていた。
一粒一粒落ちていく。
「な、泣かないでおくれ!?どうしたんだい?」
「…嬉し泣きです」
泣きながらふんわり笑った。
「白茜は本当に…宗次郎とよく似てるね。」
「え、宗次郎さんとですか?」
「あぁ。宗次郎も少し前まではいじめられてたんだ。あいつは剣術に関して天才でな。兄弟子たちに嫌がらせをされてたんだよ。稽古の中での宗次郎はそりゃあ冷めた目をしてて…」
「でも…。私には優しかったです。」
「あいつは年下の子供たちが好きだからね。よく寺で小さい子達と遊んでるよ。面倒見がいいんだ」
「なるほど…宗次郎さんもいじめられてたんですか。」
「あぁ、だからといっては失礼だが、宗次郎と仲良くしてやってくれ。」
「あ…はい!」
「それじゃあ私はそろそろ帰ろうかね。この部屋は好きに使ってかまわない。また食事を運ばせにくるよ。またね。」
近藤はそうにこやかに笑うとのっそりと立ち上がり障子をあけ出ていった。
…なんか。私どうすればいいんだろう。
運よく近藤さん家に住まわせてもらえるようになったけど…
なにかお手伝いとかしないと失礼だよね…。
でもアルビノの私ができることなんてあるかなぁ…。
とりあえず、夜になったらお食事運んでくれるらしいし、そのときにきいてみよう!
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