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そうこうしているあいだに夕方になる。
障子越しに、夕日で赤く染まっているのがわかる。
光は綺麗。
そんなことは私にもわかる。
目がいたくならなければ私だって夕日をみたい。日の出をみたい。
それがかなわないなんて、神様はどうして私をアルビノにしたんだろう。
「白茜さーん。食事もってきましたよー。」
宗次郎の声がして障子があく。
「病み上がりだったんで梅粥にしてもらったんですけどたべれますか?」
「あ、はい!好きです。ありがとうございます!」
私は熱々のお膳をもらう。
小さな鍋からは白い湯気がたちこめる。
美味しそう…。
食事を口にするのは昨日ぶりなので、素直に美味しいと思った。
「あ、あの。宗次郎さん」
「はい?なんですか?口に合いませんか?」
「あ、いえ!美味しいです!!」
「そうですか。それはツネさんも喜びます。」
「ツネさん?」
「近藤さんの奥さんですよ!とっても優しい方です。」
「あ、あの!ツネさんに会わせてください!よ、夜になれば私もこの部屋からでられるんで…じゃなかったら布団!布団かぶって今から行くんで!だ、ダメですか…?」
びっくりした面持ちをしていた宗次郎だったが、
「わかりました。あとでツネさんに言っておきますね。」
と笑った。
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