330人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
目的地のツネさんの部屋には蝋燭が灯っているらしく、障子越しにも優しい明るさがわかる。
「さ、ここですよ!私はまた少ししたらきますから。」
そういうと宗次郎はそのまま暗闇を歩いていった。
ドキドキする胸を抑え、障子の柱部分をノックしてみる。
「つ、ツネさん。私、今日近藤さんがたに助けていただいた白茜といいます。入ってもよいでしょうか…?」
少しの静寂の後、スッと障子があいた。
「あら…。どうぞ、お入りになってください。」
ニコッと笑うツネにホッと胸を撫で下ろす。
笑うときに首をかしげるのが癖なのかもしれない。
「座布団がそこにあるから、そこに座ってくださいな。」
たしかにそこには座布団が二枚引いてあった。
「宗次郎から伺うことは聞いてたから用意してたのよー。あ、蝋燭大丈夫?光苦手なのよね?」
「大丈夫です。これくらいの光ならなんともありません。」
そのまま白茜は座布団に座る。
「それで、用ってなにかしら?」
「あ、はい…。」
どうしよう、緊張するな…。
「わ、私はアルビノという病気なんです。」
「えぇえぇ。旦那様から聞いております。さそがし苦労されたのでしょう。」
「そ、それで…近藤さんはここに好きなだけいるといいといってくれました。正直他にあてがあるわけでないので、こちらにご厄介になろうと…考えています。」
「あら、そう。今は決して治安がいいわけでないものね。とくにあなたは容姿も目立ちますし、ここにいるといいわ。」
「あ、ありがとうございます!」
最初のコメントを投稿しよう!