第1章

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目的地のツネさんの部屋には蝋燭が灯っているらしく、障子越しにも優しい明るさがわかる。 「さ、ここですよ!私はまた少ししたらきますから。」 そういうと宗次郎はそのまま暗闇を歩いていった。 ドキドキする胸を抑え、障子の柱部分をノックしてみる。 「つ、ツネさん。私、今日近藤さんがたに助けていただいた白茜といいます。入ってもよいでしょうか…?」 少しの静寂の後、スッと障子があいた。 「あら…。どうぞ、お入りになってください。」 ニコッと笑うツネにホッと胸を撫で下ろす。 笑うときに首をかしげるのが癖なのかもしれない。 「座布団がそこにあるから、そこに座ってくださいな。」 たしかにそこには座布団が二枚引いてあった。 「宗次郎から伺うことは聞いてたから用意してたのよー。あ、蝋燭大丈夫?光苦手なのよね?」 「大丈夫です。これくらいの光ならなんともありません。」 そのまま白茜は座布団に座る。 「それで、用ってなにかしら?」 「あ、はい…。」 どうしよう、緊張するな…。 「わ、私はアルビノという病気なんです。」 「えぇえぇ。旦那様から聞いております。さそがし苦労されたのでしょう。」 「そ、それで…近藤さんはここに好きなだけいるといいといってくれました。正直他にあてがあるわけでないので、こちらにご厄介になろうと…考えています。」 「あら、そう。今は決して治安がいいわけでないものね。とくにあなたは容姿も目立ちますし、ここにいるといいわ。」 「あ、ありがとうございます!」
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