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「で?それをいいに来たのかしら。」
ツネが首をかしげてキョトンとすると
「あ…いえ。こちらでお世話になるんで、なにかお手伝いができれば…と。病気のせいでやれることはすくないんですけど。できる限りのことはやるんで!!!なにか仕事をください!」
白茜は頭を下げる。
「まぁまぁ!頭なんてさげちゃって!やめてくださいな。そうねぇ…じゃあなにか頼みましょうかね。外に出る洗濯は無理だし…。縫い物なんてどうかしら?」
「縫い物…?」
「あら、やったことない?」
「す、すみません…」
「それじゃあ今度教えてあげる。一人前の女になるためには旦那様の着物をぬってあげることが大事よ!」
「は、はい!ありがとうございます!」
「それで…あなたを初めて見たときから思っていたのだけれど、その服は何なのかしら?異国の服?」
「え?」
あ!そうだ…この時代はみんな着物や袴をきているんだよね。
これじゃあ私浮きまくり…。
「死んだ親が変わったものが好きな人だったので…今ではこの服しかないんです。」
びっくりしたツネが
「それなら私の着物をなん着かあげるわ。お古で悪いんだけどね。」
「え!?いいんですか…?」
「本当は新しいものをあげたいんだけれど……あいにくお金がないもんでね…。」
するとツネは箪笥を漁りはじめ、紺地に白い花がちりばめられているものと、白地に桃色の蝶が飛んでいるものをくれた。
「あなたははだが白いから、きっと似合うわ!」
「あ、ありがとうございます!でも…着方が…。」
「あなた箱入り娘だったのかしら?いいわ、教えてあげる。おいで」
白茜はツネに背を向けて立ち、ツネは丁寧に着せてあげた。
ツネが選んだのは白地の方で、着付けが終わると
「ふふふ、我ながらいい仕事をしたわ!」
と満足げに言った。
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