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「白茜さーん?お話は終わりましたか?」
障子越しに宗次郎がきいてくる。
「あら、お迎えがきたわね。似合ってるから宗次郎にもみせてあげなさい。明日またお裁縫おしえてあげる。」
「あ、ありがとうございました、ツネさん!宗次郎さん、今いきます!」
白茜が障子をあけると、今度は蝋燭をもっている宗次郎が口をあんぐりさせた。
その様子をみたツネは笑いをこらえている。
「それじゃあおやすみ、お二人さん。」
「あ、おやすみなさい!」
といい障子を閉めた。
宗次郎は微動だにしない。
やっぱり着物なんて似合わないのかな…。
「えへへ。似合いませんよね。こんなかわいい着物なんて。」
「いえ!すごい…すごい似合ってます!あの…その。きれいです。」
蝋燭のせいか、宗次郎の顔が赤くなってるようにみえる。
それにつられ白茜も赤くなった。
「あ、ありがとうございます…!」
「そ、そろそろ寝ましょっか!」
「そ、そうですね!お迎えありがとうございます!」
部屋まで送ってもらい、白茜は障子をしめ、布団に突っ伏した。
着物は崩れないように気をつけながら。
…はずかしかった。
気づけば白茜は夢の中にいた。
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