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そうして小学生時代はあまりいい思い出がない。
中学校には、少し遠くのところを選ぶことにした。
祖母も、それを許してくれた。
祖母と一緒に、東京へ引っ越した。
それは、東京なら奇抜な人がいても個性と見てくれるんじゃないかと思ったから。
二人で相談した結果だった。
東京といっても都会のほうではなく、自然が見える落ち着いた場所を選んだ。
「おばあちゃん。夜になったし、少し外を散歩してくるね。」
「あぁ、いってらっしゃい。ただ危ない人には気を付けるんだよ。フードを深くかぶって遠くにはあまりいくんじゃないよ。」
「わかってるよ。そこら辺をみたら帰ってくるから。」
昼間は人通りや太陽光があるため外に出るのは躊躇われるため、いつも出掛けるのは夜中。
私はフードを深くかぶって靴を履き外へ出た。
家の周辺をしばらく歩くと、なにやら後ろから足音がし始めた。
…通行人の人かな…。
そう思い少しスピードを落とす。
自分のことを抜いてくれることを期待したが、いつまでたっても抜かさない。
気味悪がり途中で足を止めたら、後ろの足音もピタッとやんだ。
私は恐る恐る後ろを振り返ると、私と同じくフードをかぶった男と目が合い、そしてにやっと笑った。
私の体からは一気に血の気が引き、自分のもてる力をふりしぼって走り出した。
普段の体育を休んでる私は、走ったところで簡単に追い付かれるだろう。
しかし、幸運にも木に包まれたお寺を発見し、そこへ逃げようと足を踏み入れた。
私が走り出したことに驚いたその不審者は、舌打ちをしてと追いかけてきた。
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