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息をゼーゼーさせながら走っていくと、白茜の目の前には古い祠が見えた。
考えてる暇もなく段差のある祠に足をかけ扉に手をかける。
狭くて埃臭いその祠に膝を抱えて座り込む。
足音は鳴り止まない。
「どこいったんだよ、あのがき!!」
男は騒ぎ出し、大きな足音を出しながら探している。
白茜は震えながら涙を流し、目をつぶる。
いつまでたっても男の怒声と足音は鳴り止まなかった。
気づくと、祠の扉の隙間から光が漏れ入っていた。
…朝?
って、朝!?
おばあちゃんが心配してるよね…。
流石に男の気配もない。
帰らなきゃ…と、扉に手をかける。
祠内に満ちる太陽光に、痛む目を押さえる。
外へ出たくないのは山々だが、おばあちゃんも心配してるだろうし、何よりずっとここにはいたくなかった。
外へ足を踏み出し階段まで向かう。
…あれ?このお寺ってこんなに綺麗だったっけ…。
少し真新しく見える寺に疑問をもつが、外観を見たのが夜だったからかな?と思い、構わず歩き進めた。
…ぁ、だめだ…。
行けるかも思ったが、目に突き刺す光と肌を焼き尽くす太陽にめまいを感じ、そのまま地面へ体を投げ捨てた。
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