第1章

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息をゼーゼーさせながら走っていくと、白茜の目の前には古い祠が見えた。 考えてる暇もなく段差のある祠に足をかけ扉に手をかける。 狭くて埃臭いその祠に膝を抱えて座り込む。 足音は鳴り止まない。 「どこいったんだよ、あのがき!!」 男は騒ぎ出し、大きな足音を出しながら探している。 白茜は震えながら涙を流し、目をつぶる。 いつまでたっても男の怒声と足音は鳴り止まなかった。 気づくと、祠の扉の隙間から光が漏れ入っていた。 …朝? って、朝!? おばあちゃんが心配してるよね…。 流石に男の気配もない。 帰らなきゃ…と、扉に手をかける。 祠内に満ちる太陽光に、痛む目を押さえる。 外へ出たくないのは山々だが、おばあちゃんも心配してるだろうし、何よりずっとここにはいたくなかった。 外へ足を踏み出し階段まで向かう。 …あれ?このお寺ってこんなに綺麗だったっけ…。 少し真新しく見える寺に疑問をもつが、外観を見たのが夜だったからかな?と思い、構わず歩き進めた。 …ぁ、だめだ…。 行けるかも思ったが、目に突き刺す光と肌を焼き尽くす太陽にめまいを感じ、そのまま地面へ体を投げ捨てた。
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