第1章

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「ん?どうしました?」 「あ、…いや。い、家がとても遠くて。どうやって帰ろうかな…って?そんな感じのこと考えてました。」 「そんなに遠いんですか?」 「はい。…帰れるかもわかりません。…どぉしよぅ…」 距離だけならともかく、時間の越え方なんて知らない白茜。 打つすべなしと項垂れた。 「どうやってここにきたんですか?」 「わからない。気づいたらここにいたんです。」 「困ったなぁ…、あ!そうだ!近藤さんにお願いして、しばらくここに泊めてもらえばいいんですよ!ね?それなら家の心配はしなくてもいいですし。かくいう僕も、弟子としてここに住まわせてもらってますし」 「近藤さん…?」 「えぇ!どうせあなたが起きたら教えてくれと言われてましたし、ついでにいってきちゃいますよ!って、あぁ…あの、お名前伺ってもいいですか?」 「白茜。白いあかねで白茜っていいます。」 「白茜…。いい名です。ぴったりですね。じゃあいってきますね!」 にこっと屈託のない笑顔で障子の向こうをかけていった。
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