330人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
「外は嫌なのかい?」
近藤は眉を困らせて言う。
「あ……いや…」
「言いたくないならいいんだ。ここには好きなだけいるといい。あ、でも家族には心配をかけちゃいけないよ。お父さんお母さんが不安になっちゃうからね。」
白茜は握っていた拳をさらに強く握る。
「いえ…。私には、もう父も母もいないので。」
「それは…悪いことを聞いてしまったね。なら遠慮することはない。ここで一緒にくらそう!宗次郎もいるしな。他にも何人か食客たちもいるし、きっと仲良くしてくれるだろう。」
「え…あ、ありがとうございます!!!」
白茜はここにきて初めての笑顔をみせた。
それをみた宗次郎は、僕が守ってあげたい。そんなことを思った。
白茜の美しい笑顔に二人ともつられて笑みがこぼれた。
「ここで住まわせていただくんです。私のこと…お話ししていただきます。聞いていただけますか?」
二人は笑顔を引き締めた表情に変えた。
最初のコメントを投稿しよう!