未来の君に――。

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「なぁ、ユーマ。これぐらいあったら良くね?」 「そうだね。本当はもっと下の階も見に行きたいけど・・・仕方ないか」  遠い昔、俺達が生まれるずっとずっと昔。この地は滅びた。数々の天災を乗り越え、生き残った人類により小さいながらも世界は一つになった。それなのに、一つの世界はクーデターにより戦争へと変わり世界はもっと小さな世界になった。  俺とユーマが生まれたのはその戦争が終結して何十年も経ってから・・・。  だから戦争は勿論、天災の数々も歴史の教科書でしか知らない。 「一体、どんな人達が住んでいたんだろうね?」  引き潮の時。その間だけ半分海に浸かりながらも聳え立つコンクリートの山々。そこにユーマと船で向かっては古代文明の残骸を集めて古道具屋に売っていた。  まぁ、たいてい塩水に浸かりすぎて風化して古道具屋の店主に嫌がられるけど・・・。  それでも俺達は殆ど毎日のようにコンクリートの山々を探検しては遊んでいた。
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