第1章

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周りは畑だらけの田舎。ここに住んでいるのは、ごく普通の高校生 稲崎進。と進の両親、祖母で暮らしている。両親共働きで進と過ごせる時間はほとんどなかった。そのため祖母と一緒にいる時間のが長い。 進は、勉強熱心だった。人一倍負けず嫌いの性格である。 進は、学校から帰ってくるときまって自分の部屋に篭って勉強をしている。そんなとき祖母の声が聞こえた。 「ご飯出来たよ」 進は、祖母の作るご飯はあまり好きではなかった。味付けも薄く。米もべちゃべちゃしているからだ。でも、進は黙って食べる。ご飯が食えるだけでもありがたかったからだ。進はさっさと食べ終えて部屋に戻る。祖母が夜食用にと作ってくれたにぎり飯をかかえて。 進の部屋は、裸電球と勉強机。就寝用の布団しかない。裸電球はホコリをかぶっていて、木の勉強机はボロボロだった。それなのに進は文句一つ言わない。両親の収入が少なく生活費だけで精一杯だった。こんな部屋で進は黙々と勉強をひたすらしていた。 勉強をしているときには、無心になろうと必死だったがなれなかった。いつもよくわからない感情に襲われて押し潰されそうになる。 哀しい 愚か 闇 不安 がごちゃまぜになったような感情。進は、これらに吐き気がした。頭痛までくるのだ。それでも勉強は、辞めなかった。人には負けたくない この思いが強い。 めまいがしてきた。もうダメかと思い。布団に潜り込み寝た。いつもこんな生活だ。新鮮味がない。あるとしたら勉強して身につけた新しい知識ぐらいだろう。人とのふれあいがない。進は自分でもおかしくなってきてるのは、わかってた。 家族と過ごしたい 最近この気持ちが強くなってきた。だが叶わない。両親が帰ってきてもすぐに仕事に行ってしまう。祖母も進の心配をして疲れきっていた。家事も一人でしてるのだ。進も祖母の心配をしていた。でも、家事などしたことがなく手伝ってもかえって邪魔になるかもしれないと思い。出来ない。 進は一人ぼちぼちと猫背気味で学校に通ってる。学校は嫌いだった。教師は偉そうにして、なにを教えるのかと思ったら教科書に載ってることだけ。こんなの誰にだってできる。進はいつもそう思っていた。
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