第1章

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凛とした寒さが肌を刺すような、夜明けすぐの早朝。 意味もなく早く起きてしまって、折角だからと外の出てきた次第、こんなにも寒いとは思わなかったので、少しだけ後悔した。 他にもこたつに入り浸って本を読むだとか、年始らしく惰眠を貪ってみるとか。 ただ、特別な一日で少し気分が昂っていたのかもしれない。初日の出のことでも考えていたのかもしれない。ただ理由は忘れた。 けたたましいブレーキの音、クラクション。 鈍い痛み。 轢かれたと理解するのにあまり時間は要らなかった。 ぼんやりと運転手が電話している声が聞こえた。 身体が鋭い痛みをたたえ、ぴくりとも動かせそうにない。いや、もしかしたら動いているのかもしれないが感覚が無い。 少しだけ眠ろう、生きていようが、死んでいようが、目が覚めたらことは済んでいるだろうから。
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